第1回 ごあいさつがわりの自己紹介

こんばんは。うずらと申します。このたびはご購読ありがとうございます! 第1回目の配信をお届けします。
まずははじめましてのご挨拶のかわりに自己紹介を。なぜ私がここでいま、こういう文章を書き続けるに至ったのかを書きたいと思います。
よろしければ、しばらくお付き合いください。
うずら 2021.05.13
誰でも

「うずらさんですか。きっと来てくださると思っていました」。

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以前勤めていた会社は、激務でした。

かれこれ四半世紀前。
マンション1室がオフィスという小さな出版社で、月刊誌の編集にたずさわっていました。

昔ながらの出版社のつねとして、月刊誌の校了日前は必ず徹夜でした。

ただひとりの上司は部下に過干渉で、たった5人の会社でもあり、日々の一挙手一投足がチェックされ、制限されました。

毎日、何やかや業務を言いつけられて深夜まで退勤させてもらえず、なのに夜ご飯を食べる自由はなくて、いつもお腹を空かせて仕事をしていました。

まだパワハラという言葉はありませんでしたし、当時ネットは未発達で、悩みを吐き出せるようなSNSもありませんでした。

そんな私にとって、生活の唯一の楽しみは、おいしいものを食べること。

自分の精神が自由になれる時間は、週末金曜日と土曜日の夜中だけ。

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私を救ってくれたのは、一軒のフランス料理店でした。

そこは比較的クラシックなフランス料理を鉄板焼きスタイルで作る店で、午前3時くらいまで営業していました。

午前0時まで仕事をして、家と反対方向の地下鉄に乗って、レストランの最寄り駅で降りる。帰るのはいつも午前3時すぎのタクシーでした。

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いつもひとりでした。

午前0時からディナースタート。一緒に行ってくれる人はいませんでした(当たり前だ)。
行くと決めた日は「今日はおいしいものを食べるんだ…!」と、仕事中も、いつもより少し心の浮き立つような時間がありました。

終電を急ぐ人の流れに逆行して、夜の街に出るときのワクワク感。

7人も座れば満席になる鉄板焼きカウンターの中には、20代の元気なシェフ(当時は20代でシェフになる人は少なかった)と新人さん、ソムリエさんの3人。小さな店でした。

目の前で野菜が茹で上がり、肉が焼き上がり、ソースが温められる。
自分のために作られる料理。
そのひとときに、どれだけ力づけられたかわかりません。

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Twitterやブログ「モダスパ+plus」でほそぼそと飲食にまつわる情報を発信して10年ほどになりますが、飲食店の中の人から、お店で声をかけていただく、また、深刻な悩みを相談されるかたが出て来ました。

最初は「なんでそれほど親しくもない私なんかに……?」と思ったりもしたのですが、次第に何となく納得がいきました。

料理人さんの世界は激務です。
さらに、シェフ(オーナー)の意向が絶対という体育会系な側面もまだまだ強いです。
そんななかで、話ができる人もおらず、精神を病むほどに追い詰められたひとが出てくる。

相談できる同僚はいない。専門学校時代の同期も自分と同じように激務。家族や恋人に相談したら無駄に心配させてしまう。

そういうときに、飲食業界の外にいる私のような存在は話しやすいのでしょう。

「うずらさんですか。きっと来てくださると思っていました」。

以前レストランで中の方に言われた言葉です。
その方は、私のTwitterをずっと読んでくださっていたそうです。

Twitterは速報性はありますが、140字の切れ切れの情報です。
今回 theLetterさんからお話をいただき、Twitterでおさまらない、もう少し長い個人的な話を届ける先として配信を始めてみようと思いました。

このレターのタイトルとして「午前3時の料理店」という名前をつけたのは、夜の営業が終わって静かになった(いまは時短であがりも早いと思いますが)厨房でひとりの時間を過ごしている料理人さんの姿を思い浮かべてのことです。
そして、つらいときに私を救ってくれたレストランへの、私なりの恩返しでもあります。

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このレターでは、以下のような記事を月に2本程度配信していきたいと思っています。

  • 料理人さんにうかがった話

  • 料理人さん(若手のかた)からいただいたお悩み相談

  • ミシュランやゴエミヨなどの評価サイトを分析しての自分なりの感想

  • 料理雑誌今月の内容紹介

  • シェフインタビュー記事の裏話など

ふだんのライター業務と違いますので、法人向けのライティングではできない、個人的な話を中心にしていく予定です。
どうぞご期待ください。

また、今後どんなものが読みたいかなど、よろしければTwitterのDMにお送りください。

ぜひ感想などを添えて、 Tweet などで感想をシェアいただけますと幸いです!

うずら

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